革新的な座り心地を提供するスツール「Swing Ao」

体の動きに合わせて自由に動く座面が特徴

椅子というと、座るという行為を静的なものとして捉えがちです。しかし、人間の体は動くために作られています。そこで、体の動きに合わせて座面が自由に動くスツール「Swing Ao」が開発されました。このスツールは、座る人の骨盤の動きに連動して座面が動くテンション構造を採用しており、小さなブランコに乗っているような浮遊感を楽しみながら、体の機能を活性化することができます。

「Swing Ao」のデザイナーである梶谷拓誠は、座る人の骨盤の動きに連動して座面が自由に動くテンション構造を採用したことで、このスツールが他の椅子とは異なる点を説明しています。その結果、座る人は浮遊感を楽しみながら、骨盤、脊柱、周围の筋肉の動きを促進し、体の機能を活性化することができます。また、8度の角度を持つ座面を使用することで、通常のスツールとしても使用でき、猫背を防ぐ健康的な姿勢を維持することができます。

「Swing Ao」は、上部の座面構造、下部の脚構造、そして両者を接続する吊り下げ材料から構成されています。脚構造に接続された複数の吊り下げ材料が、座面構造から下方に延びる棒を吊り下げています。座面構造の棒は、脚構造の上部パネルの中央に配置された穴を通っています。脚構造の穴の直径は、座面構造の棒の直径よりも大きく、ユーザーは直径の差分の範囲内で座面を自由に動かすことができます。

このスツールは、ダイナミックな座り方とスタティックな座り方の2つのモードで使用することができます。ダイナミックな座り方では、座面の下に延びる棒が基部部品の貫通用穴にできるだけ触れないように座り、骨盤、股関節、脊柱を動かして座面の揺れを楽しむことができます。リラックスしたいときや気分転換したいときにはダイナミックな座り方を楽しむことができます。スタティックな座り方では、座面の下に延びる棒が穴に触れるように前傾姿勢で座ります。座面が約8度の角度で固定されるため、まっすぐな姿勢で座ることができます。

「Swing Ao」のプロジェクトは、2021年4月に東京で「アスリートのための椅子」プロジェクトとして始まり、2021年11月に初のモデルが完成しました。デザインのインスピレーションは、ピーター・バコークの「ミュージシャンのためのアレクサンダー・テクニック」から得た、人間の体の使い方に関する情報や、私たちが無意識に持っているバランス感覚の重要性に焦点を当てたものです。また、吊り下げ構造のデザインには、バックミンスター・フラーの「テンセグリティ」からヒントを得ました。

このデザインの最大の課題は、アスリートに利益をもたらし、彼らの運動感覚を刺激する椅子を開発することが可能かどうかということでした。そこで、体の操作法や体の構造について研究を始め、人間の進化過程での体の構造の変化や、失われた尾の機能的意義に興味を持ちました。その時、体のバランス感覚がアスリートにとって非常に重要であることに気づき、「Swing Ao」のイメージが浮かんできました。

「Swing Ao」は、2022年のA' Furniture Design Awardでシルバー賞を受賞しました。シルバーA' Design Awardは、技術的な特性と素晴らしい芸術的技術を持つ、創造的で専門的に注目すべきデザインに授与されます。これらのデザインは、優れたレベルの卓越性を示し、ポジティブな感情、驚き、驚嘆を引き出します。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Takusei Kajitani
画像クレジット: Image #1-5: Photographer Yoko Inoue, Variations, 2022.
プロジェクトチームのメンバー: Ao Designer: Yoh Miyachi Craftsman: Ryosuke Tanaka
プロジェクト名: Swing Ao
プロジェクトのクライアント: Takusei Kajitani


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